まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「Is The Summer Really Over」クリス・レインボウ(1975)

 おはようございます。

 今日はクリス・レインボウの「Is The Summer Really Over」です。

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Look at me
Drying my jeans in the sand
They stiffen so hard
They can stand
In the sun
Summer love
Though it was real at the start
We quietly drifted apart

 

Is the summer really over now
Cause it doesn't seem so very long
Since the perfect wave rolled by my board
Has the summer really gone

 

Here I am
Livin' a daydream for real
This sunset at night seems to know
How I feel
But I'm goin' home
Finding it so hard to smile
And lock up the dreams for awhile

 

Is the summer really over now
Well it doesn't seem so very long
Since the perfect wave rolled by my board
Has the summer really gone

 

Is the summer really over now
Was the spirit captured in a song
Has the perfect wave rolled by my board

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僕を見て
砂の中で乾かしたから
ジーンズはゴワゴワに硬くなって
太陽浴びて立っていられそうさ
夏の恋
始まりは本物だったけれど
僕たちは静かに離れていった

 

夏は本当に終わってしまったの?
だって、そんなに長く思えないから
完璧な波が僕のボードを通り過ぎてしまってから
夏は本当に行ってしまったの

 

僕はここにいて
白昼夢を実際に生きている
夜に向かうこの夕焼けは
僕の気持ちを知っている見たいさ
だけど僕は家に帰るんだ
笑顔を見せるのはとても難しい
しばらくの間、夢を閉じこめる

 

夏は本当に終わってしまったの?
だって、そんなに長く思えないから
完璧な波が僕のボードを通り過ぎてしまってから
夏は本当に行ってしまったの


夏はもう本当に終わってしまったの
夏のスピリットはもう歌の中だけなの
完璧な波が僕のボードを通り過ぎてしまった

                 (拙訳)

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 夏の終わったことを”完璧な波が僕のボードを通り過ぎてしまった”と表現するのはなかなか素敵ですね(僕は全くサーフィンはやりませんが、、)

 

 クリス・レインボウはスコットランドグラスゴウ出身のシンガー・ソングライターです。

 この曲を聴いてもわかる通り、ビーチ・ボーイズブライアン・ウィルソンに影響を受けた、コーラス・ワークに長けたポップスを作った人で、彼がブライアンに捧げた「Dear Brian」という曲には、ブライアン本人も感銘を受けたという話があります。

 

 「Dear Brian」(彼のセカンド・アルバム「ルッキング・オーヴァー・マイ・ショルダー」収録)

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 また、アラン・パーソンズは彼のことを”One Man Beach Boys"と呼んでいたそうで、まさに、という感じですね。

 

 レインボウというのはもちろん芸名で、本名はクリス・ハーレイというそうです。当時、スティーヴ・ハーレイというロック・アーティストが人気が出て来たので避けようという話になり、たまたま友人と見ていたTV番組のレポーターがクリストファー・レインボウという名前だったので、それに決めたそうです。

 

 1974年に彼は”クリストファー・レインボウ”という名義で「Give Me What I Cry for」と「Solid State Brain」という二枚のシングルをリリースし注目を集めます。

 

ブリティッシュ・ポップスらしい、見事な出来の「Give Me What I Cry for」

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 そして1975年にファースト・アルバム「ホーム・オブ・ザ・ブレイヴ(Home Of The Brave )」をリリースしましたが、これに「Is The Summer Really Over」が収録されていました。

 

 その後彼は『ルッキング・オーヴァー・マイ・ショルダー(Looking Over My Shoulder)」(1978年)、『ホワイト・トレイルズ(White Trails)」(1979年)と二枚のアルバムをリリースしていますが、それ以降は彼のソロ作品は発表されませんでした。

  その代わり彼は他のバンドの作品で活躍するようになります。

 まず、アラン・パーソンズ・プロジェクトではアルバム『イヴの肖像( Eve )』(1979年)から『ガウディ(Gaudi )』(1987年)までのアルバムに、リード・ヴォーカル、コーラス、として参加しています。

 

  また、プログレ・バンド”キャメル”にもサポート・メンバーとして参加。1984年のアルバム『ステーショナリー・トラヴェラー (Stationary Traveller) 』では、2曲リード・ヴォーカルをとっています。

 

 そのうちの1曲「Long Goodbyes」。鍵盤を弾きながらハイトーンで歌っているのがクリスだと思います。

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 ちなみにアラン・パーソンズもキャメルも同時期に元パイロットのデヴィッド・パットンも使っているんですね。”70年代ブリティッシュ・ポップの匠”二人が80年代にプログレ・バンドに参加していたというのは興味深いですね。

 

 さて、その後も彼はコーラスやプロデュースの仕事を精力的に行っていたようです。

 

 意外なところでは布袋寅泰の楽曲2曲にコーラス参加しています。せっかくなので両方聴いてみましょう。

 

 1996年のシングル「ラストシーン」。女性コーラスは今井美樹かの香織

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 2000年のアルバム「fetish」収録の「BOY MEETS GIRL」。間奏に突然、いかにもクリスらしいビーチ・ボーイズ風で慎まやかなコーラスが現れます。

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 後年、彼はパーキンソン病に罹患し、闘病生活の末2015年に亡くなっています。

 

 彼の残したソロの作品をあらためて聴くと、ビーチ・ボーイズへの深い愛情と敬意が強く感じられます。

 オマージュとしてビーチ・ボーイズの”技法”を踏襲した作品を作ったアーティストは少なくありませんが、彼の場合、技法を徹底して研究しながらも、それがちゃんと血肉化されて彼の人間性と調和しながら作品になっている、ただのオマージュより一段深く感じられる、そこが素晴らしいのだと思います。

 

 最後に、彼の最後のアルバムになった「ホワイト・トレイルズ」からのシングル曲「Love You Eternally」を。

 

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