おはようございます。
今日は安部恭弘の「Double Imagination」です。
【R30】 DOUBLE IMAGINATION / 安部恭弘
彼は80年代CITY POPの重要人物の一人です。
このジャンルの先駆者である大瀧詠一や山下達郎は本人のビジュアルはほとんど表に出ず、あくまでも楽曲、サウンドとジャケットのイラストレーションのイメージの相乗効果でCITY POPというジャンルを確立させていったわけですが、その後に続いた山本達彦や角松敏生、そしてこの安部恭弘などは、自身のイメージがCITY POPとシンクロするような受け止められ方をするようになりました。
山本達彦がちょっと気障で貴公子っぽいイメージとすれば、安部恭弘はジェントルでソフトで上品、角松は(ご本人は不本意だったでしょうが)今でいう”チャラい”遊び人という感じだったようなw。
3人とも東京出身というのも大事なポイントです。CITY POPの演者は”都会人”でなければ説得力がないですからね。
ただ、アーティスト本人に、そういうCITY POP的なおしゃれで軽い世界観のイメージがついてしまうと、音楽家としての実力は軽視されがちになるという、悩ましい”ツケ”が回ってくることがあったように思います。
安部恭弘もソングライティングだけでなく、ギターやコーラスアレンジにも長けた、才能溢れるミュージシャンです。その才能や実績に見合った評価はまだされていないように僕は感じます。
ちなみに、僕が最初に聴いた彼の曲はこれでした。もともとは安部自身がソロでデビューすることを狙ってヤマハのポプコンに応募した曲だったようです。
彼はまず大学時代に銀座のヤマハの中にあるライヴ・ハウスで弾き語りやっていたそうで、そこで杉真理に認められ、彼のバンドに参加したそうです。(その縁もあり、杉の大学のサークルの後輩であり、彼のバンドに参加したことのある竹内まりやに「五線紙」(作詞 松本隆)を提供しています)
大学卒業後に音楽活動をやめ建設会社に勤め富山に赴任したそうですが、やはり音楽をやりたくなり東京に戻り、コーラスやギターの仕事を始めます。
そして寺尾聰が大ヒットしたのを見て、自分みたいな音楽にもチャンスがあると思い本気でデモテープを作ったところ認められ、 1982年に「We Got It」デビューを果たします。
また彼が作曲家としても素晴らしい楽曲を書いていますが、特に有名なのは、稲垣潤一に提供した「ロング・ヴァージョン」でしょうか。まさにJボサノヴァの傑作です。
本来はアコースティックなものが得意だったのかもしれません。大学時代はジェームス・テイラーが好きでアコギの弾き語りをやっていたようですし、Wikiではオリジナルはボサノヴァ調の曲ばが多かったという記述もあります。
時代さえ許せば日本版ケニー・ランキンやマイケル・フランクスみたな感じになっていたのかも、などと想像してしまいます。
さて、今回セレクトした「Double Imagination」は、日産スカイラインのCMに使われていた曲。
この時期のスカイラインは”ニューマン・スカイライン”と呼ばれていたらしく、ポール・ニューマンが出演していました。この4年前に彼はコーヒーのブレンディのCMに出演していて、音楽はイングランド・ダン&ジョン・フォード・コーリーの「KEEP YOUR SMILE」の曲調と相まって、小粋でやさしいイメージのものだったのですが、安部のこの曲もそのラインに近いものだとも言えます。
しかし、いまこんなにソフトに歌う男性シンガーはぜんぜんいないですよね、、。
最後は彼が竹内まりやに提供した楽曲のセルフカバーを。
(ちなみに僕は竹内まりやのアルバムではこの曲の入った「ポートレイト」が一番好きです)
ポートレイト~ローレンスパークの想い出~