まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ウキウキ・ウェイク・ミー・アップ(Wake Me Up Before You GoGo)」ワム!(1984)

 おはようございます。

 今日はワム!の「ウキウキ・ウェイク・ミー・アップ」です。


Wham! - Wake Me Up Before You Go-Go (Official Video)

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You put the boom boom into my heart 
You send my soul sky high when your lovin' starts
Jitterbug into my brain (yeah, yeah)
Goes a bang-bang-bang 'til my feet do the same


But something's bugging you
Something ain't right 
My best friend told me what you did last night 
Left me sleepin' in my bed 
I was dreaming, but I should have been with you instead

Wake me up before you go-go
Don't leave me hanging on like a yo-yo
Wake me up before you go-go
I don't want to miss it when you hit that high
Wake me up before you go-go
'Cause I'm not plannin' on going solo
Wake me up before you go-go
Take me dancing tonight
I wanna hit that high 

You take the grey skies out of my way 
You make the sun shine brighter than Doris Day
Turned a bright spark into a flame 
My beats per minute never been the same
'Cause you're my lady, I'm your fool
It makes me crazy when you act so cruel 
Come on, baby, let's not fight 
We'll go dancing, everything will be all right 

Wake me up before you go-go
Don't leave me hanging on like a yo-yo
Wake me up before you go-go
I don't want to miss it when you hit that high
Wake me up before you go-go
'Cause I'm not plannin' on going solo
Wake me up before you go-go
Take me dancing tonight
I wanna hit that high 

Cuddle up, baby, move in tight
We'll go dancing tomorrow night
It's cold out there, but it's warm in bed
They can dance, we'll stay home instead

Wake me up before you go-go
Don't leave me hanging on like a yo-yo
Wake me up before you go-go
I don't want to miss it when you hit that high
Wake me up before you go-go
'Cause I'm not plannin' on going solo
Wake me up before you go-go
Take me dancing tonight

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君のせいでハートがブンブン高鳴るんだ

君に愛されてから僕のソウルは空まで舞い上がる 

脳みそでジルバはバン、バン、バンって

足が動き出すまで鳴っているんだ

 

だけど何かが僕を悩ませる

なんかしっくりしない

親友が昨夜君が何をしていたか教えたんだ

ベッドに取り残された僕は夢を見ていたけど

それなら君と一緒にいたかったよ

 

君が出かける前に起こしてよ

ヨーヨーみたい宙ぶらりんのままにしないで

君が踊りに行く前に起こしてよ

最高に盛り上がっている君を見逃したくないんだ

君が出かける前に起こしてよ

ひとりでいるつもりはないんだ

君が出かける前に起こしてよ

今夜踊りに連れて行ってよ

盛り上がりたいんだ

 

君は僕の前から曇り空を消してくれた

君は太陽ドリス・デイより眩しく輝かせる

火花を炎に変えるんだ

毎分ごとに鼓動のリズムは変わるんだ

だっけ君は僕のレディ、僕は君に夢中さ

君に冷たくされるとおかしくなるのさ

カモン、ベイビー、ケンカはしないで

踊りに行こう、すべてうまくいくはずさ

 

君が出かける前に起こしてよ

ヨーヨーみたい宙ぶらりんのままにしないで

君が踊りに行く前に起こしてよ

最高に盛り上がっている君を見逃したくないんだ

君が出かける前に起こしてよ

ひとりでいるつもりはないんだ

君が出かける前に起こしてよ

今夜踊りに連れて行ってよ

盛り上がりたいんだ

 

そばに来て、ベイビー、しっかりくっつこう

明日の夜は踊りに行こう

外は寒いけど ベッドは暖かい

ヤツらは踊りにいけばいいい 僕らはかわりに家にいようよ

 

君が出かける前に起こしてよ

ヨーヨーみたい宙ぶらりんのままにしないで

君が踊りに行く前に起こしてよ

最高に盛り上がっている君を見逃したくないんだ

君が出かける前に起こしてよ

ひとりでいるつもりはないんだ

君が出かける前に起こしてよ

今夜踊りに連れて行ってよ

盛り上がりたいんだ              (拙訳)

 

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 1980年代のヒット曲はとにかくポップでした。その中でも、飛び抜けてキャッチーでわかりやすかったのはワム!でしょう。

 当時の邦楽と比べてもワム!の方がわかりやすいんじゃないかとさえ、当時思ったものです。そして、そのわかりやすさのために、彼らを軽視してしまったところも正直あります。

 曲を作ったジョージ・マイケル本人ものちにこの曲について振り返って

「絶対いちばんみんなの記憶に残っているワム!の歌だと思うよ。だって、他のどの歌よりもはるかにバカげているるからね」と、やや自嘲を込めて語っています。

 

「あの時点では、僕は自分が職人だって信じてたし、3,4分のポップ・シングルこそみんなが抵抗できないものなんだって考えを信じ込んでいた」

 

 ヒットを作ることに没頭し、それを楽しんでもいたのでしょう。

 最終的にワム!のレパートリーでいちばん有名になったのは「ラスト・クリスマス」ですが、曲を書いた時彼は21歳くらい、この「ウキウキ」を書いたのが20歳、日本でよくCMで使われる「フリーダム」は19歳、そして名バラード「ケアレス・ウィスパー」を書いたのはなんと彼が17歳の時だったと言います。

 ポップで口ずさみやすい曲を作ることの難しさを語っていたのはオリジナル・ラヴ田島貴男ですが、そういう意味ではジョージ・マイケルは正真正銘の天才だったのでしょう。

 

 また、僕は、”ネアカ”な人には、本当にポップで明るい曲は書けないと思っていて、

暗い場所から陽のあたる場所を憧れて見つめるような視点が必要だと考えています。

明るさのありがたみ、を心底知っていないと、と。

 

 ジョージ・マイケルという人も、全然”ネアカ”ではなくて、本質的には孤独でとても繊細な人だったと思います。それが、地位や名声が大きくなり、ソロ・アーティストになることで、ますます孤独感が強まって、そのことが作品にも強く投影されていくことになります。過度にセクシャリティに振り切ったようなダンス・ナンバーと、悲しいトーンのバラードがメインになっていきます。それはそれで、他に類のない、情感に強く訴える作品ですが、ワム!の頃の明るさは完全に消えてしまいました。

 

 今、彼の歩みを振り返ってみると、この曲の底抜けな明るさはかえって浮いているようにさえ思えますが、一人の若い天才が、その才能をただまっすぐにヒット曲を作ることだけに集中することができたからこそ生まれた、貴重な成果だったのだと思います。

 

 明るくて、誰でも口ずさめるポップ・ソングを作ることの難しさ、というのをあらためて思い知らされます。

 

 なかなかここまで完璧なまでに能天気を極めたような曲は、なかなかカバーしようと思うアーティストはいないですよね。そんな中、意外な感じのものがありました。フィンランドのアーティスト、ペッテリ・サリオラのヴァージョンを、最後に。


WAKE ME UP BEFORE YOU GO-GO/PETTERI SARIOLA(ペッテリ・サリオラ)

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