まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「一本の音楽」村田和人(1983)

 おはようございます。

 今日は村田和人の「一本の音楽」です。

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 もはや、今の若い人たちからしてみたら音楽の単位が”一本”ってどういうこと?と思うのかもしれませんね。これは、カセットテープのCMソングでした。カセットテープの単位が一本、二本だというのも説明が必要かなとも思ったのですが、最近は若い子の間でカセットテープが静かなブームのようです。

 


マクセル一本の音楽

 

 「一本の音楽」は宣伝のキャッチコピーで、そのタイトルで曲を作ってほしいというリクエストだったようです。以前このブログで紹介した、杉真理の「Catch Your Way」と同じパターンです。当時のCMソングはキャッチ・コピーありきの発注というのがメインだったのでしょう。

 

 「一本の音楽」という言葉で始まるサビを、何パターンか作って欲しいという広告代理店からの要望に応えて、彼は20パターンくらい作り、その中の一つが選ばれ、またその中の別のものがAメロとして生かされたのだそうです。

(参照「クロニクル・シリーズ ジャパニーズ・シティ・ポップ」木村ユタカ著)

 

  当時は音楽はラジカセでカセットテープで聴くのがメインでした。ウォークマンが発売されて以降は、レコードをカセットテープにダビングして、ウォークマンで聴く、というのがひとつのサイクルになっていました。

 

 なので、”一本の音楽”というのは今では通用しないフレーズではありますが、かつてカセット・ウォークマンをカバンやポケットに入れて聴いていた経験のある人たちにとっては、そのときの感触、空気感を思い出させてくれる、今となっては”かけがえのない”フレーズでもあります。

 

 今の時代は、スマホで数千万曲を聴くことができます。当時(カセットウォークマンの時代)は考えもしなかった”夢のような未来”に今自分はいるんだなあと思ったりもします。自分のカバンやポケットに、好きな音楽が入っているワクワク感はずいぶん薄れてしまったようにも思いますが。

 自分がほんとに好きなアルバムや、せっせと編集した「MY BEST」みたいなカセットを大切に持ち歩いた時代の、「制約が多い楽しみ」の良さも、これだけ便利な世の中だからこそあらためて感じたりもします。

 

 さて、村田和人は、山下達郎のバックアップで世に出たので、達郎ファンが最初に飛びついたという記憶があります。二人とも、類まれな、のびやかなボーカルが魅力ですが、達郎の声は”とろみ”があるのに比べて、彼は、もっとカラッとしてストレートな魅力があります。アコギを大らかにストロークするような70年代のウェストコースト・ロックにぴったりハマる、日本人としてはかなりレアなタイプのボーカリストだったように僕は思います。

(2016年に残念ながら彼は他界しています)

 

 この「一本の音楽」が入った山下達郎プロデュースの「ひとかけらの夏」やその次の彼が初めてセルフプロデュースした「My Crew」というアルバムは、彼の魅力が遺憾なく発揮された傑作です。特に「My Crew」は個人的には日本のシティポップ・アルバム・ベスト10に入る傑作だと思っています。

 

 最後は「My Crew」から僕が偏愛する「Island」という曲をぜひ。

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