まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ドリフター(The Drifter)」ロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ(1968)

 おはようございます。

 今日はロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズの「ドリフター」です。


The Drifter

 

 ” もう一度 僕の胸にあの気持ちが芽生えた

  目新しいものじゃない 前にも感じたものさ

   僕の中の何かを強く求める声が叫んでる

   他にもっと何かあるはずだって

 

   腕を広げたように広がる道を信じてみるよ

        もし君もそれを選ぶなら 一緒に行こう

 

   だって、まだ行ったことのない場所があるし

   夕日の中に思いっきり飛び込んで行きたい

   たくさんのことはできないけど 

   さまよいたい気持ちには勝てないんだ

   僕の中には漂流者がいるから

 

          がんばってみたけど 僕はただ定住できないんだ

     9時5時の仕事は性に合わない

     拒否してもいいだろ?

        元気になって自分が自由だって証明するのは気分がいいものさ

           鎖に縛られてないし 重荷も背負ってない

   得るものばかりで失うものはないんだよ

 

    だって、まだ行ったことのない場所があるし

    夕日の中に思いっきり飛び込んで行きたい

    たくさんのことはできないけど 

    さまよいたい気持ちには勝てないんだ

    僕の中には漂流者がいるから   ”  (拙訳)

 

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Once again
There's a feeling inside of me
Nothing new
I've felt it before
Like the voice of hunger
Inside of me crying out
There's got to be more

I'll put my faith
In the arms of an open road
And you can come along
If you choose

'Cause there's places
That I've never been to
Sunsets to be ridden into
Not a lot I can do
But give in to the drifter
There's a drifter in me

Though I've tried it
I'm just not a settler
And nine to five
Don't make it with me
Why deny it
It makes me feel better
To come alive
And prove that I'm free

 

I wear no chains
And I carry no heavy load
So much to gain
And nothing to lose

'Cause there's places
That I've never been to
Sunsets to be ridden into
Not a lot I can do
But give in to the drifter
There's a drifter in me

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 カーペンターズの「雨の日と月曜日は」「愛のプレリュード」などを書いた作曲家ロジャー・ニコルズが組んだグループが”ロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ”です。一枚しかアルバムを作っていなかったのですが、内容が素晴らしく、いわゆる「渋谷系」のムーヴメントの中で再評価され、ちょっと大げさに言えば「聖典」のような存在になりました。

 

 彼らにはそのアルバムには収録されていないシングルにも素晴らしい曲があって、その中でも人気が高いのがこの「The Drifter」です。また、同年にハーパーズ・ビザールも取り上げましたが、なぜか Bメロがカットされていました。


The Drifter (Remastered Version)

 

   日本では高野寛が日本語詞をつけてカバーしています。

www.youtube.com

 

 彼らはまさに日本人が掘り起こしたアーティストだとも言えるわけで、その流れで2007年と2012年に復活アルバムをリリースしています。ロジャー・ニコルズの未発表曲集も日本で発売されています。

 日本人のポップスに対する”審美眼”はけっこう誇っていいものなんじゃないかと僕は思っています。

 洗練と儚さと温かみのあるロジャー・ニコルズの作風というのが、日本人に合っているとも言えるかもしれません。

 

  

 今の時代、会社勤めしないを自由な生き方を、求めて実践している人がどんどん増えていますね。とは言え、定時の仕事に追われている人がまだまだ圧倒的多数です。

 でも、そんな中でも縛られない自由な時間を作って、気ままに動いてみることは

誰にも必要な気がします。いわば”パートタイム・ドリフター”。

  そして、その気ままな”漂流”のお伴には音楽は欠かせません。音楽こそ、日常の鎖や重荷から束の間解放してくれて、心を自由に漂流させてくれるものだと思います。

 

 

 

 

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