まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「恋の仲直り(Reunited)」ピーチズ&ハーブ (1979)

 おはようございます。

 今日はグロリア・ゲイナーの「恋のサバイバル」の作者フレディ・ペレンとディノ・フェカリスが次の年に出した大ヒット曲「恋の仲直り」です。


Reunited

 

    " 君のそばから離れるなんて僕はバカだったよ

    君なしの僕はなんて寂しい存在なんだ

    君と別れが僕を孤独で悲しくさせた

    愛しているって気づいたんだ どうしようもなく君が必要だから

 

  夜はラジオを聴きながら過ごしたの

  あなたを行かせてしまったことを悔やみながら

  二人の喧嘩はたくさんのことを学ぶすべだったのね

  今は愛しているってわかる あなたに触れてほしいと強く思っているから

 

  もう一度結ばれて とてもうれしくて

  お互いを理解したから また結ばれた

  完璧な相性というのがあるなら、これがそうなんだ

  二人とも胸が高鳴っている また一緒になれたから 

 

  ここに座って見慣れた部屋の壁を見つけているの

  あなたから電話をもらった途端 息を吹き返したみたい

  電話線の中を通って会いに行きたいと願ったわ

  そしてあなたの望むものをあげたい

  ずっとあなたは私のものだから

  

        君を欺いたりできないし 賭け事もしないよ

   離れていることがこんなに辛いとは思わなかった

   これほどかけがえのない瞬間を思い出しながら

   またよりを戻せてうれしい  君のキスが恋しかったから

 

        もう一度結ばれて とてもうれしくて

  お互いを理解したから また結ばれた

  完璧な相性というのがあるなら、これがそうなんだ

  二人とも胸が高鳴っている また一緒になれたから

 

         愛しい人よ これが完全な愛なんだ

    あなたこそが私が夢見た人

         昼も夜もずっと 全身全霊でこの愛を捧げる

 

  もう一度結ばれて とてもうれしくて

  お互いを理解したから また結ばれた

  完璧な相性というのがあるなら、これがそうなんだ

  二人とも胸が高鳴っている また一緒になれたから ”  (拙訳)

 

*********************************************************************

I was a fool to ever leave your side
Me minus you is such a lonely ride
The breakup we had has made me lonesome and sad
I realize I love you 'cause I want you bad, hey, hey

I spent the evening with the radio
Regret the moment that I let you go
Our quarrel was such a way of learnin' so much
I know now that I love you 'cause I need your touch, hey, hey

Reunited, and it feels so good
Reunited 'cause we understood
There's one perfect fit
And, sugar, this one is it
We both are so excited 'cause we're reunited, hey, hey

I sat here starin' at the same old wall
Came back to life just when I got your call
I wished I could climb right through the telephone line
And give you what you want so you will still be mine, hey, hey

I can't go cheatin', honey; I can't play
I found it very hard to stay away
As we reminisce on precious moments like this
I'm glad we're back together 'cause I missed your kiss, hey, hey

Reunited, and it feels so good
Reunited 'cause we understood
There's one perfect fit
And, sugar, this one is it
We both are so excited 'cause we're reunited, hey, hey

Lover, lover, this is solid love
And you're exactly what I'm dreamin' of
All through the day
And all through the night
I'll give you all the love I have with all my might, hey, hey

Reunited, and it feels so good
Reunited 'cause we understood
There's one perfect fit
And, sugar, this one is it
We both are so excited 'cause we're reunited, hey, hey

**********************************************************************

   昨日ブログに登場した「恋のサバイバル」は1979年のビルボード年間チャート6位で、その上の5位がこの「恋の仲直り」でした。

 2曲とも僕はリアルタイムで聴いていたのですが、作者が同じことに今まで気づきませんでした、、。

 考えてみれば2曲とも、男性が女性を捨てて出て行ったというまったく同じシチュエーション、でも「恋のサバイバル」のほうはふらっと彼女の部屋に舞い戻った男に対して、もうあなたは用無しよ、と三行半を突きつけるのに対し、「恋の仲直り」は男が電話をかけて来たことからよりを戻してゆくというまったく”真逆の”の状況になっています。

 しかも、曲を書いただけではなく作者のディノ・フェカリスとフレディ・ペレンのチームでどちらの曲もレコーディングをし(「恋のサバイバル」はディノのプロデュース、「恋の仲直り」はフレディのプロデュースの名義になっています)、ほぼ同じミュージシャンでレコーディングされているそうなので、「恋のサバイバル」と「恋の仲直り」はある意味”コインの裏表”のような曲と解釈していいのかもしれません。

 

 歌っているピーチズ&ハーブの二人もなかなか興味深いプロフィールの持ち主です。

 ”ピーチズ”が女性で”ハーブ”が男性のデュオなのですが、現在までハーブは同じ人なのですが、ピーチズは7代目になっているそうなんです。”襲名制”(?)なんですね。

 

 ”ハーブ”ことハーブ・フェイムは本名がハーバート・フィームスターといってハーバート(Herbert)の略称としてハーブ(Herb)と呼ばれたのでしょう。

 

    彼がレコード店員をしていた時によく来ていた客がヴァン・マッコイで、ハーブは彼のプロデュースでまずソロ・シンガーとしてデビューすることになります。彼と同じレーベルでグループとして活動していたのが”ピーチズ”ことフランシーヌ・ベイカーで、マッコイは彼らをデュオにし1966年にデビューさせます。

 

 彼らはコンスタントにヒットを出しましたが、この当時の一番のヒットは、山下達郎ア・カペラ・アルバム「オン・ザ・ストリート・コーナー」で取り上げ、吉田美奈子とデュエットしたことで達郎ファンにはおなじみの「Close Your Eyes」(オリジナルは1955年のファイヴ・キーズ)でした(全米8位)。


CLOSE YOUR EYES PEACHES AND HERB

 彼らの人気が上がるとともにツアーなどのスケジュールがハードになり、結婚もしていたベイカーは、レコーディングのみに参加する形になり、ツアーは2代目”ピーチズ”にマーリン・ジェンキンズがつとめることになります。

 

 自分からセミリタイアを申し出たので、代わりの人が”ピーチズ”を名乗ることにベイカーも同意したのでしょう。

 

 この頃、彼らには興味深いタイトルのシングルがあります。1968年に全米46位、R&Bチャートでは11位まであがった「United」です。

 「恋の仲直り」の原題は「Reunited」ですから、「United」の続編だと解釈する意見もあるのです。

 オリジナルはフィラデルフィア・ソウルの名ボーカル・グループ、イントゥルーダーズ。フラデルフィア・ソウルのメイン・プロデューサー、ギャンブル&ハフの作品です。

  イントゥルーダーズが"She”と歌うところを”You"に変え、デュエット仕様にしています。


(We'll Be ) United - Peaches & Herb

 このあと、ハーブは何か思うことがあったのでしょうか、1970年に歌手をやめ、警察学校に入り警官になります。

 しかし、時とともにまたステージに立ちたい気持ちは募っていたそうで、そんなとき彼は強盗事件で犯人と撃ち合いになり、そのときに警官をやめてまた歌手をやろうと決意したそうです。

 そして旧友のヴァン・マッコイに連絡し、紹介してもらった女性シンガーが3代目”ピーチズ”になるリンダ・グリーンだったわけです。

 

 マッコイのプロデュースで一枚アルバムを作りましたが成功せず、その後レコード会社を変えて古くからの知り合いだったフレディ・ペインにプロデュースを依頼したところ大ヒットになったというわけです。

 

 「恋の仲直り」は「恋のサバイバル」の”コインの裏表”であると同時に、「United」の続編、すなわち”新たなパートナーとの再会”、という二重の意味があると思うと、この曲の味わいがまた深くなるような気がします。

 

 最後にこの「恋の仲直り」が収録されたアルバム「2Hot」からはもう1曲全米トップ10ヒット(5位)が生まれています。こちらはダンス・ナンバー。「恋の仲直り」同様ディノ・フェカリスとフレディ・ペレンの作で、フレディのプロデュース。

「Shake Your Groove Thing」を最後に。

 

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「恋のサバイバル(I Will Survive)」グロリア・ゲイナー(1978)

 おはようございます。

 今日はグロリア・ゲイナーの「恋のサバイバル」です。

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 "  最初は怖くて 自分を失っていたわ

 あなたがそばにいなくちゃ生きていけないって思い続けて

    だけど 今までどれほどあなたが私にひどいことをしてきたか

 考え続けながらいくつも夜を過ごしたら

 私は強くなった これからどうやっていけばいいかわかったの

 あなたがどこかはるか遠くから帰って来て

 部屋に入っていくと 寂しそうな顔を浮かべたあなたを見つけた

 家の鍵を変えておけばよかった あなたに鍵を置いて行かせればよかった

 私をあなたが帰って来てまた私を煩わせるって、ちょっとでも気づいていたら

 さあ行って、ドアから出て行って、今すぐ向こうに行って

 だってもうあなたは必要ないの

 別れを切り出して私を傷つけようとしたのはあなたじゃなかったの?

    私が崩れ落ちるほどの痛手をうけるって思った?

 倒れ込んで死んでしまうって思った?

 

 だめよ、私は生き残ってゆくの

 愛し方を知っている限り、私は生き続けていられる

 生きてゆくためにこの人生があって

 与えるためにこの愛はあるの、私は切り抜けてゆく

  生き残るてっゆくの

 

   自分が崩れてしまわないように全力を尽くしたの

 壊れた心のカケラを必死につなぎ合わせようとして

 ただ自分を哀れんでいくつも夜を過ごしたわ 泣きながら

 だけど今は顔を上に上げて あなたが見ているのは前とは違う誰か

 私は鎖に繋がれた弱い人間じゃないし、あなたをもう愛してもいない

 だからあなたが私がまだ一人だと思って立ち寄ったとしても

 今の私は真剣に愛してくれる誰かのために愛情は全部とってあるの 

 さあ行って、ドアから出て行って、今すぐ向こうに行って

 だってもうあなたは必要ないの

 別れを切り出して私を傷つけようとしたのはあなたじゃなかったの?

    私が崩れ落ちるほどの痛手をうけるって思った?

 倒れ込んで死んでしまうって思った?

 

 だめよ、私は生き残ってゆくの

 愛し方を知っている限り、私は生き続けていられる

 生きてゆくためにこの人生があって

 与えるためにこの愛はあるの、私は切り抜けてゆく

  生き残ってゆくの          ”    (拙訳)

 

*******************************

At first I was afraid, I was petrified
Kept thinking I could never live without you by my side
But then I spent so many nights thinking how you did me wrong
And I grew strong
And I learned how to get along
And so you're back
From outer space
I just walked in to find you here with that sad look upon your face
I should have changed that stupid lock, I should have made you leave your key
If I'd known for just one second you'd be back to bother me
Go on now, go, walk out the door
Just turn around now
'Cause you're not welcome anymore
Weren't you the one who tried to hurt me with goodbye
Do you think I'd crumble
Did you think I'd lay down and die?

Oh no, not I, I will survive
Oh, as long as I know how to love, I know I'll stay alive
I've got all my life to live
And I've got all my love to give and I'll survive
I will survive, hey, hey

It took all the strength I had not to fall apart
Kept trying hard to mend the pieces of my broken heart
And I spent oh-so many nights just feeling sorry for myself
I used to cry
But now I hold my head up high and you see me
Somebody new
I'm not that chained-up little person and still in love with you
And so you felt like dropping in and just expect me to be free
Well, now I'm saving all my lovin' for someone who's loving me
Go on now, go, walk out the door
Just turn around now
'Cause you're not welcome anymore
Weren't you the one who tried to break me with goodbye
Do you think I'd crumble
Did you think I'd lay down and die?

Oh no, not I, I will survive
Oh, as long as I know how to love, I know I'll stay alive
I've got all my life to live
And I've got all my love to give and I'll survive
I will survive

Oh
Go on now, go, walk out the door
Just turn around now
'Cause you're not welcome anymore
Weren't you the one who tried to break me with goodbye
Do you think I'd crumble
Did you think I'd lay down and die?

Oh no, not I, I will survive
Oh, as long as I know how to love, I know I'll stay alive
I've got all my life to live
And I've got all my love to give and I'll survive
I will survive   I will survive

******************************

 

 作者にとってもシンガーにとっても、まさに起死回生の”サバイバル”となったディスコの名曲

 

  この曲は数多(あまた)あるディスコ・ソングの中でも最高峰のひとつと呼んでいいものでしょう。

 発売当時は全米NO.1に輝き、グラミー賞ではその年だけ設けられたディスコ部門で最優秀賞を受賞しています。ドナ・サマー「バッド・ガール」、マイケル・ジャクソン「今夜はドント・ストップ」、E,W&F「ブギー・ワンダーランド」、ロッド・スチュワート「アイム・セクシー」ともう錚々たる楽曲を打ち負かしての受賞でした。

 

 そして、現在でもその評価は高く、アメリカのケーブルTV”VH-1"が選んだ”100 Greatest Dance Song"で1位、ローリング・ストーン誌の史上最高のディスコソング100ではビー・ジーズの「ステイン・アライヴ」に次いで2位になっています。

 

    また、YouTubeにあがっているこの曲の動画の再生数をざっと合算すると1億8000万回くらいというすごい数になります。

 文字通り時代を超えて”サバイバル”した、いや、サバイバルどころかもっとパワー・アップしているのがこの曲なのかもしれません。

 

 

 歌っているグロリア・ゲイナーは1943年生まれですから、この曲をリリースした時にはすでに35歳でしたから、かなりの遅咲きでした。

 

  デビューは1965年。「She'll Be Sorry」という曲で、NY出身のR&Bシンガーのルー・コートニー(1974年にリリースした「I'm In Need of Love」というアルバムは日本のR&Bファンからも人気があります)と、先日ブログで紹介した「ラインストーン・カウボーイ」(グレン・キャンベル)のプロデューサー、デニス・ランバートが共作しています。


Gloria Gaynor - She'll Be Sorry

 

   そして彼女の初めてのヒットは1974年。ジャクソン・ファイヴの「さよならは言わないで(Never Can Say Goodbye)」のカバーでした(全米9位)


Never Can Say Goodbye

 

 しかし、その後はヒットが続かず4年間の低迷期を経て、リリースしたのがこの「恋のサバイバル」でした。

 

 この曲を書いたのはフレディ・ペレンとディノ・フェカリス。二人はともにモータウンのスタッフ・ライターをやっていて、フレディは社長のベリー・ゴーディ率いるチーム”ザ・コーポレーション”の一員として、ジャクソン・ファイヴの「ABC」や「帰ってほしいの(I Want You Back)」を書いています。

 

 しかし、ディノはモータウンをクビになってしまい、フレディとともに制作タッグを組むことにします。そして、引き受けた仕事の一つがグロリア・ゲイナーのシングルの制作でした(A面はライチャス・ブラザースの「Substitute」という曲のカバーでした)。

 

 そして、彼らは自分たちの書いた「恋のサバイバル」が彼女にぴったりだと思い、メッセージをつけて彼女にテープを手渡したそうです。曲は2年前に書かれていて、実はすでに何人ものアーティストから採用を見送られていた曲だったそうです。

 作詞をしたのがディノで、彼がモータウンから解雇されて途方に暮れていると、テレビから自分がかつて書いた曲が流れて来て、そのとき

 

‘I’m going to make it. I’m going to be a songwriter. I will survive!’”

(成功してみせる、ソングライターになるぞ、俺は生き残るんだ)

 

と口に出したそうで、その言葉がモチーフになっていました。

 

 グロリアのほうはただヒットが出なかっただけではなく、プライベートでも大変困難な状況にいました。

 母が亡くなり、おまけにマネージャーの使い込みによって多額の借金を背負うことになるなど。その上、ステージで転倒したことにより下半身が麻痺してしまい、 脊椎の手術を受けてリハビリをしていたのです。

 この曲のレコーディングにも車椅子で現れ、上半身に支持具を装着し、マイクのある場所までいくのにもスタッフに支えられてなんとか行けるほどの状態でした。

 

 療養生活を余儀なくされ活動できなくなっていた彼女に対してレコード会社は新しく契約は更新しないと告げていたそうです。ですからこの曲は彼女にとっての最後のチャンス、無理をしてまでレコーディングする必要があったのです。

 

 ディノたちからこの曲のデモを手渡された彼女はこの曲の歌詞に自分に重なるものを感じ、同様に他の人を励ますようなパワーも感じたと語っています。

 ぜひA面にしたいと彼女は思ったそうですが、レコード会社から受け入れられず、なんとかB面に入れることを了承してもらいました。

 

 そして出来上がると、自らニューヨークの有名ディスコに行って、DJにレコードの束を手渡して、DJ仲間たちにも渡してくれるようお願いいたのだそうです。

 

 彼らはこの曲を気に入り、ディスコでかけ始めると反響が広がり、ラジオでもオンエアされ始めるとさすがに、レコード会社もA面とB面を取り替えて再リリースすることにしたというわけです。

 彼女にとってまさに、起死回生の1曲になりました。

 

 

 

 この曲を初めて聴いた時に僕は、男に捨てられて立ち直るのを”サバイバル”ってやけに大げさな言い方するなあ、などと思ったものですが、作詞者のディノも、歌っているグロリアは特に、まさしく、”自分の人生のサバイバル”という本当に切迫した気持ちを込めた曲だったわけですね。

 

 そしてこの曲は、まずは、ゲイやLGBTコミュニティなど差別されている人たちから支持を集めていき、いまでは困難に打ち勝とうというあらゆる人たちにとっての”賛歌”になっているといいます。

 

 日本でも布施明がカバーしてオリコン最高13位のヒットになっています(アレンジは林哲司

www.youtube.com

 

 今年のコロナ禍の中で「#iwillsurvivechallenge」という、「恋のサバイバル」に合わせて20秒手洗いをする動画がTikTokなどで世界中で流行したそうで、グロリア自身もやっていて大きな話題になっています。


Gloria Gaynor #WashYourHands #IWillSurviveChallenge on TikTok

 そして、こうした流れを受けて、数々のハウス・ミュージックの有名曲に関わってきたミュージシャン、DJのエリック・クッパーがこの曲の最新リミックスを今年発表しています。


Gloria Gaynor – I Will Survive (Eric Kupper Mix Edit) [Official Audio]

 

 懐かしのディスコ・クラシックス!!

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「アイ・ウィル( I Will )」ビートルズ(1968)

おはようございます。

今日はビートルズの「アイ・ウィル」です。


I Will (Remastered 2009)

 

Who knows how long I've loved you
You know I love you still
Will I wait a lonely lifetime
If you want me to, I will

For if I ever saw you
I didn't catch your name
But it never really mattered
I will always feel the same

Love you forever and forever
Love you with all my heart
Love you whenever we're together
Love you when we're apart

And when at last I find you
Your song will fill the air
Sing it loud so I can hear you
Make it easy to be near you
For the things you do endear you to me
You know I will          I will

**********************************************************************

 

 ” 誰も知るはずないのさ

   僕がどれだけずっと君を愛してきたのかなんて

   今でも変わらず愛してるんだけど

   このまま寂しい人生を待つだけなのかな

   それを君が望むならそうするよ

 

    もし君を見かけることがあって

    君の名前を聞き逃しても

      そんなことどうってことはないさ

    僕の気持ちは変わらない

 

    ずっとずっと愛している この心全部で愛している

    一緒の時はいつでも 離れている時だって愛してる

 

       そしてようやく君を見つけたとき

     君の歌が辺りを満たすだろう

  聞こえるようにもっと大きな声で歌ってほしい

        君のそばにいやすくさせてほしい

        君のすることが君を愛おしくさせるから

   僕はきっと きっと           ” (拙訳)

 

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「I Will」の楽譜はこちら

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 この曲はポール・マッカートニーがインド滞在中に思いついたと言われています。

 

  同じ瞑想道場に来ていたドノヴァンに聴かせたところ、彼も気に入って一緒に歌詞を考えたそうです。しかし納得のいく歌詞にならず、インドから帰って来てからポールが一人であらためて書き上げました。

 

 曲もアレンジもシンプルですが、そこにヒューマンな温かみを加えているのが、ポール自身による”口ベース”。ベースの音を口でやっているんですね。

 確かに同じラインを、本物のベースでやるのをイメージすると、少し存在感が出過ぎるような気がします。絶妙なアイディアですね。

 


I Will (Anthology 3 Version)


I Will (Take 13)

 「アンソロジー3」にテイク1が「ホワイト・アルバム」のデラックス・エディションにはテイク13が収録されていますが、口ベースは入っていないんです。これはレコーディングが終わった後、別の日に”口ベース”をプラスしたようです。後になって、思いついたアイディアだったのかもしれません。

 

 この何気ないアイディア一つで曲の印象がかなり変わるわけですから、面白いものだと思います。特にポップスにはアレンジの隠し味はとても重要なポイントのように僕には思えます。

 

 この曲はどうやらテイク67まで録音したそうです。せっかくなので、ホワイト・アルバムのスーパーデラックス・エディションに入っていたテイク29も。ポールが「I Won't」なんて、ふざけています。

www.youtube.com

 

 

 最後に、たくさんあるこの曲のカバーの中から、1976年にジャマイカのレゲエ・シンガー、ジョン・ホルトが歌ったヴァージョンを。この方、ブロンディの大ヒット曲「Tide Is High(夢みるNO.1)」のオリジナルを歌っていた人ですね。なかなかハッピーな仕上がりです。

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アンソロジー(3)

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追記:日記のブログ始めました。よろしければぜひのぞいてみて下さい。

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「ハッピー・トゥゲザー (Happy Together)」 タートルズ(1967)

 おはようございます。

 今日はタートルズの「ハッピー・トゥゲザー」を。


Happy Together

 

  ”僕と君のことを 僕は想像している

 君のことを考えているんだ昼も夜も 

 愛する人のことを思って、強く抱きしめるのは当然のことさ

 そして、一緒に幸せになるんだ

 

     もし僕が公衆電話に10セント入れて君に電話して

  そして君は僕のものだって君が言って安心させてくれたら

  世界はどんなだろう、最高だろうな

  そして、 一緒に幸せになるんだ

 

   君以外の人を愛している自分なんて想像できないよ 死ぬまでずっと

   君が一緒の時は ずっと青空さ 僕の生涯ずっと

 

   僕と君 君と僕  どんなにサイコロを投げても

   僕には君がただ一人の人  僕には君だけなんだ

   そして、二人で幸せになるんだ

 

   君以外の人を愛している自分なんて想像できないよ 死ぬまでずっと

   君が一緒の時は ずっと青空さ 僕の生涯ずっと

 

      僕と君 君と僕  どんなにサイコロを投げても

   僕には君がただ一人の人  僕には君だけなんだ

   そして、二人で幸せになるんだ

 

  だから二人で幸せになろう 天気はどうだい?

  だから二人で幸せになろう 二人は幸せさ

 *****************************************************************

Imagine me and you, I do
I think about you day and night, it's only right
To think about the girl you love and hold her tight
So happy together

If I should call you up, invest a dime
And you say you belong to me and ease my mind
Imagine how the world could be, so very fine
So happy together

I can't see me lovin' nobody but you
For all my life
When you're with me, baby the skies'll be blue
For all my life

Me and you and you and me
No matter how they toss the dice, it had to be
The only one for me is you, and you for me
So happy together

I can't see me lovin' nobody but you
For all my life
When you're with me, baby the skies'll be blue
For all my life

Me and you and you and me
No matter how they toss the dice, it had to be
The only one for me is you, and you for me
So happy together

Me and you and you and me
No matter how they toss the dice, it had to be
The only one for me is you, and you for me
So happy together

So happy together    How is the weather
So happy together    We're happy together
So happy together     Happy together
So happy together     So happy together 

 *********************************************************************

 

 1967年にビートルズの「ペニー・レイン」を蹴落として3週に渡って全米1位をキープしたタートルズの第ヒット曲です。

 「ハッピー・トゥゲザー」というタイトルの割に、少し物憂げなトーンも感じる曲ですが、作者の一人であるゲイリー・ボナーによるとこれは”報われない恋”の歌だということです。

 確かにこの歌の主人公はもし電話をかけたら、などといろいろ”想像する”ばかりで終わっています。最後のリフレインに唐突に挿入されている” How Is The Weather(天気はどう?)”というフレーズは、二人がただの知り合いで終わってしまうことを悟った主人公が涙をこらえるために無理に口にした世間話、というイメージなのだそうです。思ったより切ない歌なんですね。

                          (参考:Songfacts)

 

  タートルズアメリカ西海岸(カリフォルニア州)でハワード・カイランとマーク・ボルマンを中心に結成されたグループ。もともとはサーフ・ロック・グループだったそうですが、当時の流行であったフォーク・ロックにスタイルを変更、彼らが好きだったビートルズと語呂が似ているTurtlesという名前を考え、やはり彼らが好きだったバーズに倣って(Birds をByrdsと表記)”Tyrtles”という表記にしました。

 

 しかし、デビューに際しレーベルからの指示で表記”Turtles”にし、デビュー曲のボブ・ディランのカバー「悲しきベイブ(It Ain't Me Babe)」が全米8位といきなり幸先のいいスタートをきります。


It Ain't Me Babe (Remastered)

 しかし、その後徐々に失速していきヒットに恵まれなかった彼らにとって、まさに起死回生の大ヒットになったのが「ハッピー・トゥゲザー」でした。

 

  この曲を書いたのは、ニューヨークをベースとするロック・バンド”マジシャンズ”のゲイリー・ボナー(ヴォーカル、ベース)とアラン・ゴードン(ドラムス)のふたり。

 

 マニアックな話で恐縮ですが、このマジシャンズの最初のリード・ギタリストは、ブルース・スプリングスティーンを見出した初代マネージャーで、のちにスプリングスティーンから不当な契約で彼から搾取したと訴えられることになった(この訴訟は泥沼化し「明日なき暴走」で第ブレイクしたばかりのスプリングスティーンは長期のブランクを余儀なくされました)マイク・アペルだったそうです。

 

 さて、マジシャンズは米大手コロンビア・レーベルからリリースしていましたがヒットは出せませんでした。ボナーとゴードンの書いた「ダブル・グッド・フィーリング」というシングルが、ゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズとボビー・ヴィーにカバーされています。

 

  また、ボナーとゴードンは1969年にラヴィン・スプーンフルジョン・セバスチャンが脱退したあと)のアルバム「革命(Revelation: Revolution '69)」に3曲提供し(1曲「Me About You」はタートルズのカバー)、1970年にスリー・ドッグ・ナイトに提供した「セレブレイト」は全米15位のヒットになっています。


Celebrate

 

 ボナーがメインでゴードンが手助けする形で書いた「ハッピー・トゥゲザー」はデモを作った時にヒットしそうだと思ったそうですが、タートルズに取り上げられるまでに、いくつものバンドにこの曲をプレゼンしたそうですが、ことごとく断られていたそうです。

 でもデモ・アレンジはラヴィン・スプーンフルをイメージして考えたそうですが、そのデモのテイストを生かしながらも見事にアレンジしたのが、この頃ちょうどタートルズの新しいベーシストとして加わったチップ・ダグラスでした。

 チップ・ダグラスは”モダン・フォーク・カルテット(MFQ)”の創立メンバーだった人です。

 

  MFQの「This Could Be The Night」(フィル・スペクター・プロデュース)

www.youtube.com

 

 

    そして、タートルズのメンバーとなったチップに目をつけたのがモンキーズのマイケル・ネスミスです。タートルズのライヴを観に来たときにマイケルはチップにモンキーズのプロデューサーになってほしいと依頼します。プロデュース経験がないというチップに、マイケルは”タートルズを辞めてプロデュースしてくれたら、なんでも必要なものは用意するといって口説いたそうで、結局チップは間もなくタートルズを辞めてしまいます。

 そして、チップがプロデュースした最初のシングルがゴフィン&キング作の「Pleasant Valley Sunday」、そしてその次に手がけたのがあの「デイドリーム・ビリーバー」でした。

  タートルズに不義理をしたように見えるチップですが、ちゃんとその後プロデューサーとして関わり、そのうち「エレノア」(1968)は全米6位まであがっていて、チップのアレンジャーとしてのセンスがよく感じられる仕上がりになっています。


Elenore (Remastered)

 

 1970年にタートルズは解散し、中心メンバー、のマーク・ボルマンとハワード・カイランは”フロー&エディ”というユニット(マークがフロー、ハワードがエディ)を組みフランク・ザッパなどと活動します。

 T・レックスの「ゲット・イット・オン」のバック・コーラスも彼らがやっています。この曲のリハをロサンゼルスのプール付きの豪邸でやったと先日このブログで書きましたが、

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 実はその豪邸の持ち主はハワード・カイランだったのです。

 ちなみに、彼らがコーラスを手がけた曲で、特に僕が好きなものはスプリングスティーンの「ハングリー・ハート」です。

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  では、最後に「ハッピー・トゥゲザー」の作者ゲイリー・ボナーのセルフ・カバー(1974)を。


GARRY BONNER - "HAPPY TOGETHER" - 1974

 

 

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「ラインストーン・カウボーイ(Rhinestone Cowboy)」グレン・キャンベル(1975)

 おはようございます。

 今日はグレン・キャンベルの全米NO.1ヒット「ラインストーン・カウボーイ」を。


Glen Campbell Rhinestone Cowboy

 

 ”この辺りの通りをずっと歩き続けている

   いつもの古い歌を口ずさみながら

   ブロードウェイの汚い歩道のひびならひとつひとつ知ってるよ

   詐欺がゲームの名前になり

      いい奴らが雪や雨のように洗い流されてしまう場所さ

      俺が目指す道の途中には たくさんの妥協があった

   だけど、俺をライトが照らし出してくれる場所を目指す んだ

 

   ラインストーン・カウボーイみたいに

   星(星条旗)を飾った馬でロデオに登場するのさ

   ラインストーン・カウボーイみたいに

   見ず知らずの人たちからカードや手紙をもらったり

   電話でオファーをもらうんだ

 

      雨が降っても全然平気だし

   辛いことは全部笑顔で隠せるよ

   でも、君がこんなに長い間列車に乗っていたら、うんざりするよね

      僕は地下鉄のトークンと1ドルを靴の中に入れて

   将来を夢見ているんだ

      俺が目指す道の途中には たくさんの妥協があった

   だけど、俺をライトが照らし出してくれる場所を目指すんだ

 

   ラインストーン・カウボーイみたいに

   星(星条旗)を飾った馬でロデオに登場するのさ

      ラインストーン・カウボーイみたいに

   見ず知らずの人たちからカードや手紙をもらったり

   電話でオファーをもらうのさ                                     ”(和訳)

   

  

*****************************

I've been walkin' these streets so long
Singin' the same old song
I know every crack in these dirty sidewalks of Broadway
Where hustle's the name of the game
And nice guys get washed away like the snow and the rain
There's been a load of compromisin'
On the road to my horizon
But I'm gonna be where the lights are shinin' on me

Like a rhinestone cowboy
Riding out on a horse in a star-spangled rodeo
Like a rhinestone cowboy
Getting cards and letters from people I don't even know
And offers comin' over the phone

Well, I really don't mind the rain
And a smile can hide all the pain
But you're down when you're ridin' the train
That's takin' the long way
And I dream of the things I'll do
With a subway token and a dollar tucked inside my shoe
There'll be a load of compromisin'
On the road to my horizon
But I'm gonna be where the lights are shinin' on me

Like a rhinestone cowboy
Riding out on a horse in a star-spangled rodeo
Rhinestone cowboy
Gettin' cards and letters from people I don't even know
And offers comin' over the phone

Like a rhinestone cowboy
Riding out on a horse in a star-spangled rodeo

Like a rhinestone cowboy
Gettin' cards and letters from people I don't even know

****************************

 

 ”ラインストーン”は服や帽子などを飾る模造宝石のことで、それをまとっているということは本物のカウボーイではないんですね。特にカントリー・シンガーが好んで着る衣装にはラインストーンがほどこされているんです。

 

 この曲を書いたラリー・ワイスという人も、カントリー畑の人ではありません。ニュージャージー生まれでニューヨークのクィーンズで育ち、ニューヨークで作曲家として活動していました。彼が師事していたのがウェス・ファレル。ビートルズがカバーしたシュレルズの「BOYS」などを書いた人です。ラリーはナット・キング・コールやシュレルズにも曲を書いていたそうです。

  この人の曲で僕が最も注目したいのは、ジェリー・ロス(このブログにも何度も登場しているプロデューサー。山下達郎が敬愛していることでも知られています)と共作した、ジェリー・バトラーの「ミスター・ドリーム・マーチャント」です。これはR&Bバラードの傑作だと思います。


Mr. Dream Merchant

 彼は1971年にニューヨークからロサンゼルスに引っ越し、「ムーン・リバー」や「ゴッド・ファーザー 愛のテーマ」など数々の映画主題歌の出版を管理する”フェイマス・ミュージック”の専属ライターになったようです。

  そして1974年にシンガー・ソングライターとしてアルバムを制作し(リー・スクラー、リック・マロッタ、ジム・ケルトナー、ディーン・パークスなど錚々たるミュージシャンが参加しています)、そこからのシングルになったのがこの「ラインストーン・カウボーイ」でした。

 彼がある時「ラインストーン・カウボーイ」という言葉をふと耳にしたときに、これは歌のタイトルにいい、と思い、自分が子供の頃に見たカウボーイ映画のヒーローを思い浮かべながら作ったのだそうです。


Rhinestone Cowboy

  アダルトコンテポラリー・チャートで最高24位とセールスは”おとなしい”結果に終わりましたが、この曲をラジオで聴いて”一目惚れ”したのがグレン・キャンベルでした。

 この曲のカセットをすぐに手に入れて、オーストラリア・ツアー中聴き続け、ロサンゼルスに帰ってくるとレコード会社の人間に話してすぐにレコーディングに入りました。

 (ちなみに「恋はフェニックス」も彼がラジオで聴いて、自分が歌えばヒットすると思って取り上げたものでしたね)

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 彼は、1960年代後半にジミー・ウェッブの作った「恋はフェニックス」、「ウィチタ・ラインマン」、「ガルヴェストン」などの大ヒットでスターの座をつかんだのですが、70年代に入ると大きなヒットを出せずにいました。

 この曲はそんな当時の彼を強く動かしました。

 スタジオ・ミュージシャンとして”裏方”で長い下積みを続け、30歳過ぎてからまさに”キラキラの衣装”を着る大スターになった彼は「ラインストーン・カウボーイ」を”自分の自伝が入れ込まれた歌”だと思ったそうです。

 

 ”最適な”歌手と巡り合った「ラインストーン・カウボーイ」は、1975年を代表する特大ヒット(ビルボード年間チャートでは、キャプテン&テニールの「愛ある限り」に続く第2位)になり、グレン・キャンベルも見事に”復活”を果たすことになりました。

 

 それから、この曲のプロデューサーはニューヨーク出身のデニス・ランバートとイギリス出身のブライアン・ポッターのコンビ。都会的なR&Bフィーリングのあるポップスを得意とする人たちでした。

   シンガーも、曲を書いた人も、曲をアレンジしてプロデュースした人も、誰一人カントリー畑で仕事をしてきた人間がいないんです。まさに、”虚飾のカウボーイ”の歌にふさわしい布陣で作られたといえるでしょう。

 (ラリー・ワイス箱の曲の大ヒットの後、ナッシュビルに移って、こういう感じの曲を主に提供し続けたようですが)

 

 「最初にグレン・キャンベルを聴いた時にはちょっと王道すぎるかな、と思ったけど、その後、とても精巧に作られた作品だということに気づいたんだ。彼は本当に歌がうまいし偉大なギタリストだ。年をとるとともにどんどんその音楽にはまっていって、そういう音楽の影響を受けたレコードを作りたいと思うようになったんだ」

 

 こう語っているのはブルース・スプリングスティーン。彼はグレン・キャンベルや、彼の曲を書いたジミー・ウェッブの影響が色濃く出たアルバム「ウェスタン・スターズ」を作っています。そして、その収録曲すべての演奏シーンと、その合間に曲に込めた彼の思い(精神的なさまざまな困難と格闘し続けてきたことがわかるすばらしいものです)を入れた映画「ウェスタン・スターズ」 が昨年公開され、その最後で彼がこの「ラインストーン・カウボーイ」を歌っています。

 

 スプリングスティーンもまた曲の作者のラリー・ワイス同様ニュー・ジャージー出身で本来カントリーには縁のない育ちの、いわば都会から来た”カウボーイに憧れる男”なわけです。

 そんなことを考えていたら、都会と田舎、本物と偽物が同居するような、ラインストーン(虚飾の)カウボーイ、というのはアメリカという国を表すのには、実に”芯を食った”表現だったのかもしれない、とも思いました。 

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「20センチュリー・ボーイ(20th Century Boy)」 T・レックス(1973)

おはようございます。

 今日はT・レックスの「20センチュリー・ボーイ」です。

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 " 友達が言う”いいね” 友達が言う”いい!”ってね

   みんな言うんだ まるでロビン・フッドみたいだって

   オレはネコのように動き 羊みたいに突進し

   蜂のように刺す、ベイビーおまえの男になりたいんだ

   はっきりしてるよ オレはおまえのために生まれたんだ 

   オレはおまえの相手 おまえを楽しませる”20世紀のおもちゃ”さ

 

    友達が言う”いいね” 友達が言う”いい!”ってね

    みんな言うんだ まるでロビン・フッドみたいだって

    飛行機のように飛んで 車みたいに走って

 手も握るよ、だからベイビーおまえの男になりたいんだ

 はっきりしてるよ おまえはオレの運命のご主人様さ

    オレはおまえのおもちゃ おまえを楽しませる”20世紀ボーイ”さ

 

  20世紀のおもちゃさ、おまえにかわいがってほしいんだ,,,

 

     友達が言う”いいね” 友達が言う”いい!”ってね

     みんな言うんだ まるでロビン・フッドみたいだって

     オレはネコのように動き 羊みたいに突進し

     車輪のように回転もする、ベイビーおまえの男になりたいんだ

     はっきりしてるよ オレはおまえのために生まれたんだ

     オレはおまえのおもちゃ おまえを楽しませる”20世紀ボーイ”さ

       

      20世紀のおもちゃさ、おまえにかわいがってほしいんだ,,,

      20世紀ボーイさ おまえに楽しんでほしいんだ、、   "(拙訳)

  

************************************************************* 

Friends say it's fine  friends say it's good
Everybody says it's just like Robin Hood
I move like a cat, charge like a ram,
Sting like a bee, babe I wanna be your man.
Well it's plain to see you were meant for me, yeah
I'm your boy, your 20th century toy

Friends say it's fine,  friends say it's good
Everybody says it's just like Robin Hood
Fly like a plane, drive like a car
Hold like a hand, babe I wanna be your man 
Well it's plain to see you were meant for me, yeah
I'm your toy, your 20th century boy

20th century toy, I wanna be your boy
20th century toy, I wanna be your boy
20th century toy, I wanna be your boy
20th century toy, I wanna be your boy

Friends say it's fine, friends say it's good
Everybody says it's just like Robin Hood
Move like a cat, charge like a ram,
Steer like a wheel, babe I wanna be your man
Well it's plain to see you were meant for me, yeah
I'm your toy, your 20th century boy

20th century toy, I wanna be your boy
20th century toy, I wanna be your boy
20th century boy, I wanna be your toy
20th century boy, I wanna be your toy

****************************************************

 

 マーク・ボランは意味不明な(?)歌詞を書きますし、発声も明瞭じゃないので、この曲についても海外の歌詞サイトでは”こう聴こえるんだけど””正しいのは?”みたいな書き込みがけっこうありました。

 

 例えば、2行目は”Everybody says it's just like rock'n roll”としている歌詞サイトのほうが多いのですが、rock'n rollじゃなくRobin Hoodロビン・フッド)だとするところもあって、僕なりにこの曲の動画のマーク・ボランの口の動かし方をチェックしたのと、ロビン・フッドは人形のおもちゃ(Toy)にもなっていると言うこともあって、ロビン・フッド説を採用しました。

 そうすると、ネコのように動き云々というのは、その”おもちゃの機能”のことがよりわかりやすくなる気もします。もちろん正解はわかりませんが、、。

 

 さて、本国イギリスではスーパースター、アメリカでは「ゲット・イット・オン」だけのヒットで終わったT・レックスですが、日本ではどうだったかというと、かなりの人気だったようです。

 昨日のブログで取り上げた「メタル・グルー」が収録されたアルバム「スライダー」は30万枚売れたといいます。そして1972年の終わりに来日時には羽田空港が大騒ぎになったそうで、武道館公演も2回やっていますので、やはり相当な人気だったわけです。

 

 日本での人気に気を良くしたのか、マーク・ボランは突然レコーディングがしたいと言い出して、東芝EMIのスタジオで急遽録ったのがこの「20センチュリー・ボーイ」でした。

   (ウィキペディアでは録音は12月3日の午後3時から夜中の1時半までかかったとあって、次の日は2回目の武道館公演だったはずですから、かなり強行なスケジュールでした)

 プロデューサーのトニー・ヴィスコンティは日本に同行していなかったので、ロンドンに戻ってからバックボーカル、アコギ、サックスなどをダビングして最終的に仕上げたようです。

 しかし、浦沢直樹の漫画「20世紀少年」で再び脚光を浴び、その後CMでも使われるなど、ひょっとしたら今の日本ではT・レックスの曲で一番有名かもしれないこの「20センチュリー・ボーイ」が日本でのライヴ期間中に急遽録音されていたというは、とても面白いことのように思えます。

 

 もちろん全く因果関係などあるわけがないのですが、アメリカで唯一のヒットとなった「ゲット・イット・オン」がアメリカでのライヴ期間中に急遽録音されていたという前例を思い出してしまったからです。

 

 

 それから、この時の来日時に記者会見をやっていて、そこでデヴィッド・ボウイとの違いについて尋ねられたマーク・ボランはこんな風に答えています。

 

「最大の違いは、僕らの方が数倍有名であるということです。(場内笑)デヴィッド・ボウイは、ひとつの考えにとらわれていて、それを表現していこうとしているのに対し、僕らは常に未来に向かって進んでいるんです。

   音楽をやっていく上で重要なのは、その音楽が自分のハートから生まれてこなければならないことだと思います。僕らは、その考えにのっとってやってきましたが、デヴィッド・ボウイの場合には、どちらかというと頭脳の中から生まれてきたように思います。彼は非常に良いライターだと思いますが、だんだんと自分の才能を発揮できなくなってきているんじゃないでしょうか。ジミ・ヘンドリックスなんかもハートで音楽を演奏し創っていた人です」

                  (「ボラン・ブギー 電気ノ武者伝説」)

 

 この会見のタイミングは1972年末ですから、セールスも頭打ちになってきたとはいえT・レックスの最高潮期でした。当時「ジギー・スター・ダスト」でようやくブレイクしたボウイに対して、明らかに”上から目線”ですね。

 

 両者のプロデューサーであったトニー・ヴィスコンティによると、マーク・ボランは”ポップ・スターを熱望するものを決まってねたむ”らしく、ボウイがジギースターダスとを思いついた時は、小バカにしながらもはらわたが煮えくり返る思いを抱いていてアルバム「ジギー・スターダスト」に対しても狭量で意地の悪いコメントを繰り返していたそうです。

 確かにそういう”ジェラシー”も、彼の発言から感じ取れます。

 そんななかでも、ボウイに対して”頭で考えすぎている”と思っているところは興味深いところです。自分は”ハート”なんだと。彼はお互いの最も違うところをちゃんと理解していたのかもしれません。そして、それが時間とともに彼らのキャリアにはっきりと表れてゆくわけですから。

 

 これは僕の勝手な印象なのですが、デヴィッド・ボウイは”ミッキーマウスの着ぐるみを自ら着るウォルト・ディズニー”のような人物であり、マーク・ボランは”限りなくミッキー・マウスに同化しようとした男”のように思います(まったくヘンなたとえですみません、、)。

 

 エルヴィス・プレスリージェームズ・ディーンみたいな大スターになりたくて、「僕は生まれながらのスターなんだ。だから死ぬのは30歳より前じゃなくちゃ」と語っていたというマーク・ボランは、自分がシンボリックな存在になることだけに取り付けれていたのに対し、デヴィッド・ボウイはあるテーマにそった想像の世界を構築することに取り付けれていて、ひとたび完成するとそれを壊し新たな世界を構築する、ということを繰り返していました。

 マークは本当に30歳より前(29歳)に自動車事故で亡くなってしまうわけですが、長きにわたって活動を続けリスペクトされてきたボウイと、その歩みは本当に対照的なものになりました。

 (ちなみにマークが自動車事故で亡くなった後、彼の息子に対してボウイは18歳まで信託金を贈っていたそうです)

 

 

 トニー・ヴィスコンティは、まだ売れなかった頃二人を一緒にやらせようと考えていたそうです。

「私は見定めていたのだ・・・デヴィッドの悪口を並べ立てるマークと、かたやマークのことをいつも我が事のように喜ぶデヴィッドを」

      (「ボウイ、ボランを手がけた男 トニー・ヴィスコンティ自伝」)

   デヴィッドの悪口、といっても前述した通り多分に”ジェラシー”によるものだったのでしょうし、マークはボウイのリード・ギタリストを自任していて、実際にレコーディングもしています。このコラボレーションはもっと続く可能性もあったようですが、マークの奥さんのジューンが「マークはデヴッドにはもったいない」と言ったことからその可能性はなくなってしまったと言われています。

 

 最後に、マークがギターを弾いているデヴィッド・ボウイの曲「The Prettiest Star」を。「スペイス・オディティ」の次のシングルでした。


David Bowie - The Prettiest Star (1970 stereo version)

 

 

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「メタル・グルー(Metal Guru)」T・レックス(1972)

 おはようございます。

 今日もT・レックス。「メタル・グルー」です。


T. Rex - Metal Guru 1972

 

”金属の導師様(メタル・グルー) あなたですか 

  金属の導師様  あなたですか

  鉄で覆われた椅子に腰掛けて

  金属の導師様  本当ですか     金属の導師様  本当ですか

  電話も持たず ひとりっきりだって

 

   金属の導師様  ひょっとして 僕の彼女を連れてきてくれるのですか?

 彼女は手に負えないかも ロックンロールの子供だから

 金属の導師様  これまでは

 銀粉をちりばめた、剣歯を持つ夢みたいなものだったのでしょうか

    僕は汚れていない、いわば、汚染機械になりますよ

 

 金属の導師様  あなたですか 金属の導師様  あなたですか” (拙訳)

 

******************************

Metal Guru is it you, Metal Guru is it you
Sitting there in your armor plated chair, oh yeah
Metal Guru is it true, Metal Guru is it true
All alone without a telephone, oh yeah


Metal Guru could it be you're gonna bring my baby to me
She'll be wild you know a rock and roll child, oh yeah
Metal Guru has it been, just like a silver-studded sabre-tooth dream
I'II be clean you know pollution machine, oh yeah

Metal Guru is it you, Metal Guru is it you
Oh yeah, oh yeah, yeah, yeah, rock!

Metal Guru could it be you're gonna bring my baby to me
She'll be wild you know a rock and roll child, oh yeah
Metal Guru is it you, Metal Guru is it true
All alone without a telephone, oh
Metal Guru could it be you're gonna bring my baby to me
She'll be wild you know a rock and roll child, oh yeah

Metal Guru is it you, Metal Guru is it you, yeah, yeah, yeah

*********************************

 

  この歌についてマーク・ボランはこう語っています。

 

 「人生の祝祭の歌だ。“メタル・グルー”は周りにいるすべての神につながっている。僕は神は信じているけど、特定の宗教を信仰してはいない。“Metal Guru”は特別な誰かのようなもので、神であるのは間違いない。神はどんなものかって考えてみたとき、きっと電話もなくひとりぼっちだろうと思った。俺ももう電話には出ないことにしているんだ。ある決まった時間にだけ電話してもいいという規則はあるけど」

 

 メタル・グルーは彼が創造した”神様”なんですね。鋼鉄製のいかめしい椅子に座った孤独な神様。彼が愛読するファンタジー小説に出てきそうなキャラクターのようにも思えます。

 

 昨日このブログに登場した「ゲット・イット・オン」がリリースされた1971年頃のイギリスで音楽関係者たちは”むかしビートルズ、いまT・レックス”というようなことを口々に語っていたそうです。

  確かに、彼らのディスコグラフィを見ると、1971年から72年にリリースしたシングル7枚のうち全英1位が4つあと3つは2位というぶっちぎりの売れ方を見せています。

 少なくとも、これは1972年に「ジギー・スターダスト」で大ブレイクした盟友デヴィッド・ボウイの遥か上をいくものだったのは間違いありません。

 

 「ゲット・イット・オン」の次のシングルが「ジープスター」、その次が「ゲット・イット・オン」似たグルーヴを持った「テレグラム・サム」で、この曲もイギリスで1位になっています。


T.Rex - Telegram Sam

 この曲は”テレグラム(電報)サム”とか”パープル・パイ・ピート”とか”ジャングル・フェイス・ジェイク” といった登場人物が出てきますが、彼の歌詞は、どういう意味なのかというよりもとにかく、斬新でキャッチーな言い回しを生み出していくことが"肝”としているように思います。”メタル・グルー”も、金属と導師様という普通は結びつかない言葉をくっつけてノリを楽しんでいるのでしょう。

 

 さて、イギリスでは超スーパースターになり「ゲット・イット・オン」でアメリカでもヒットを飛ばした彼らでしたが、その後アメリカでは急激に失速してしまいました。

 はっきりした原因はわかりませんが、1972年にニューヨークのカーネギー・ホールをはじめとしてアメリカ公演を行なったのですが、その評判があまり良くなかったようです。

  1960年代後半に大ブームになったティーンエイジャー向けポップス”バブルガム・ポップ”(1910フルーツガム・カンパニーなど)のアーティストだととらえられた、という説もあるそうです。 

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 本国イギリスでは、もともとサイケデリックなフォーク・ロックをやっていた彼らの歩みもわかっていますし、メイクをしキラキラな衣装を着て演奏する”グラム・ロック”の文化的な背景などを理解しているという前提があったわけですが、その前提がなかったアメリカでは、キラキラ衣装でキャッチーなロックをやるという”表層”だけで、とらえられてしまったということがあっただろうということは、十分推測できます。

 デヴィッド・ボウイジョン・レノンと組んだ「フェイム」(1975)まではアメリカでは売れませんでしたから、あまりに都会っぽすぎる、ファッショナブルすぎるロックはアメリカのように”巨大な田舎”を抱えた国では、根本的に難しかったのかもしれません。

 そして、イギリス以外の国で、アメリカ以上に盛り上がった国の一つが日本でした。 

 

 

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